ムニンエンマコオロギ Teleogryllus boninensis (Matsuura, 1985)
戦前まではツチイロエンマコオロギ Teleogryllus testaceus と混同されていました。
小笠原に局地生息していますが、小笠原の入林と昆虫採集は国から調査の許可が必要なため、
一般的には不可能に近いです。外来種であるグリーンアノールの捕食により、壊滅的な被害を
受けて個体数が激減しています。グリーンアノールの捕食対象は昼行性昆虫を優先にしていますが、
ムニンエンマコオロギはまだ明るいうちから活動を始めるため格好の餌になっています。
飼育は簡単ですが他のエンマコオロギより気性が荒く、親が自分で産んだ子供や卵を捕食することも
多いため管理に気をつける必要があります。
体色の変化に富んでいて薄茶色からあずき色まで様々なバリエーションが確認できます。
また、産卵意欲は旺盛ですが少し苦手なようで卵を地表に産み落とすことがあります。
成虫ペア (2012/10/29)
オスは一生懸命くどき鳴きをしていますがメスは産卵に集中しています。
鳴き声は少し単調ですが美声です。
成虫オス (2012/04/12)
たまにあずき色の個体が出現します。
現在、この体色変化が遺伝するのか(体色を固定できるのか)確認するため累代を重ねています。
オス成虫 (2012/10/14)
エンマコオロギ類は飛翔筋が発達しているタイプと発達していないタイプに分かれます。
この個体は飛翔筋が発達しているタイプで、新たな産地を開拓しようと夜な夜な飛翔を繰り返しています。
孵化幼虫 (2012/04/12)
とても小さく1.5mm程度で、孵化直後は体が淡いあずき色をしています。
終齢幼虫メス (2012/06/06)
終齢幼虫までは明るい体色をしていても、羽化すると黒っぽくなる傾向が強いです。
卵 (2012/07/04)
卵は他のエンマコオロギと外見は差異はありませんが、温室下で約2週間後に孵化します。
越冬卵のように冷やすと孵化率が著しく低下して全く孵化しなくなることも多いです。