リオック
Sia ferox (Giebel, 1861)


 昆虫を闘わせるDVDソフトで一気に知名度を上げた「お化けコオロギ」で、
 現地ではジャンクリベオと呼ばれています。
 インドネシアの比較的標高の高い場所に生息していますが、あまり多く発見されていません。
 周年発生型ですが雨季(11月〜4月)に見かけることが多いようです。
 オスは50mm〜65mm、メスは70mm〜100mmと体長は個体差が大きいです。
 野外では粘土質の土壌で見られますが、飼育下では朽木粉砕マットのほうが潜りやすくて良さそうです。
 成長がとても遅く、4ヶ月に1度のペースで脱皮を繰り返して成虫になるまでに2年近くも要します。
 普段は食欲旺盛ですが脱皮の3週間前からほとんど何も食べなくなり、巣穴でじっとしています。
 また、飢餓にも強く満腹の状態からなら最大1ヶ月程度餌にありつけなくても生存可能です。
 翅ではなく腹部を震動させて鳴きますので、若齢幼虫から鳴くことが可能です。
 鳴く目的は争い鳴きのみで本鳴きと誘い鳴きはしません。
 交尾数と産卵数は極端に少ないです。
 特にメスの交尾意欲が乏しい傾向が強く、オスを拒否することが多いです。
 産卵数については産卵セットが適してない可能性もありますので、これから試行錯誤していく必要があります・・・。
 完熟果物や昆虫ゼリーも若干舐めますが、ほぼ完全な肉食昆虫で、
 飼育方法は日本直翅の常識では通用せず、完全に手探りのため飼育は難しいです。
 しかも飼育環境が合わなかったりしてストレスがたまると拒食になって餓死する場合があります。


成虫メス (2011/08/15)
翅を使うことは苦手で飛び降りるときに少し開くだけです。


成虫メス (2011/12/03)
大型の直翅やカマキリを好んで食べます。特にタイワンクツワムシが大好物です。
冷凍や缶詰になっているコオロギなども一応食べますが、嗜好性がかなり落ちるため新鮮な活餌は必要不可欠です。


成虫メス (2011/12/03)
産卵直前は腹部をパンパンにして、黄色味が若干強くなります。


幼虫メス (2012/02/11)
終齢幼虫の時点で90mmを越すこともあります。
幼虫は成虫よりも警戒心が強く、地下の巣穴に潜んでいることが多いです。


幼虫オス (2012/03/08)
普段は巣穴でじっとしていて、掘り起こされると仰向けになって威嚇します。


壊死その1 (2012/03/03)
リオックの飼育において大きな障害となるのが、黒い斑紋が出てきて死亡することが非常に多いことです。
体表がデリケートで体表に傷が付きやすく、そこから壊死してしまうことも少なくありません。


壊死その2 (2012/04/01)
体表に傷が付いて雑菌が侵入した場合です。壊死が進んだ部分では黄色く変色しています。
こうなると先は短く数日中に死亡します。



成虫ペア (2012/06/02)
リオックは死後数十分で変色するので、体色を残した標本にするには〆てすぐに処理をする必要があります。
写真の標本は未展足ですが、直翅の軟化方法を教えて欲しいです。
過去に蒸気軟化を試したことがありますが変色してしまいました・・・。


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