ヤンバルクロギリス Paterdecolyus yanbarensis (Oshiro, 1995)
沖縄本島北部の原生林に生息しています。
孵化してから成虫になるまで2年以上を要しますが成虫の寿命は3ヶ月前後と短いです。
成虫は大きめの樹洞に潜んでいて、幼虫はマットに潜っていることが多いのですが、
餌を求めて林道上にまで出てきて、両生類、爬虫類、昆虫などの轢死体に来ることがあります。
オスよりもメスのほうが動き回っていることが多く見つかりやすいです。(オスが20〜30%くらい?)
オキナワマルバネクワガタと成虫発生時期が同じため、
オキナワマルバネクワガタ拾いをする際に目撃されることが多いです。
幼虫越冬するため、幼虫は1年中発生していますが、幼虫の行動範囲は狭く、
成虫と違って警戒心も強いため発見することはあまり多くありません。
野生では成虫は11月には姿を消してしまいますが、飼育下では1月頃まで生きていることがあります。
食性は広くて果物、野菜、飼料、小型昆虫、様々な生き物の死骸、昆虫ゼリーなどを口にします。
成虫メス (2011/10/27)
手の甲に乗せていたら産卵しようとしました。上手に飼うと1月まで産卵行動が確認できます。
成虫メス (2011/10/29)
大顎が発達しているため噛まれるととても痛く、噛まれる場所によっては出血することもあります。
メス成虫 (2012/10/13)
成虫は生きたコオロギや高タンパク昆虫ゼリーを特に好みます。
ただし、飼育環境は多湿でゼリーは劣化が早く、マットに埋もれやすいため、
普段の飼育では大きめに切ったリンゴを竹串に刺して与えています。
野外ではオキナワヒラタクワガタと共にバナナトラップや落ちたイヌビワの実に付いていることがあるため、
肉食傾向は強いのですが甘党でもあるようです。
成虫オス (2011/10/25)
昼間は巣穴に潜ってじっとしています。
オス成虫 (2012/10/13)
尾肢は大きくて面白い形状をしています。
卵 (2012/04/08)
とても小さく3mm程度しかありません。5月上旬〜5月下旬頃に孵化します。
産卵意欲があり300個以上も卵を産むのですが、成長が遅いため増やしにくいです。
孵化直後幼虫&孵化直前卵 (2012/05/03)
卵の抜け殻を食べています。孵化直前卵は食べませんでした。
地中に隠れることが多く、地表ではじっとしていることが少ないため写真を撮るのに一苦労です。
若齢幼虫 (2012/08/22)
孵化から3ヶ月半でようやく6mmまで大きくなりました。
1年目はこのまま15mm前後までゆっくりと成長していきます。